[描写]と[心象]を結ぶモノ。
2008年 08月 24日
12枚ほどの短編「コオロギ」。
ある心象だけを切りとった、自分的には実験的な文章だった。
S宮チューターから明解な個別評…。
「石原クンの作品に、いつも何か足りないと思っていたのが、コオロギを読んでわかった気がする。必然である為の絶対要素である因果関係を、アナタの場合、意識的か無意識的か、薄いというか無いのです」
わぁ、確かにそうだ。
最近は、それなりの情景描写も心象描写も、方法論だけはわかってきていた。
ただ、その描写に対する”必然性"は因果関係というモノであるとS宮氏は指摘してくれた。
なぜか急に、岩井俊二の「スワロウテイル」がどーしても観たくなった。
夜中、ストックDVDで最初から観直す。
彼の映画はとかく"絵画的”だとか、描写の切り取りが巧いと評価される。
じゃぁ、岩井作品の中の因果関係って、どうなってんのやろか?
数年ぶりに観た「スワロウテイル」は、緻密な因果関係がその底にあって、ぬらぬらと、描写がまとわりついていた。
前回観た時には気づかなかった、脚本中の因果関係、そしてそれを推進する為の"因果関係"としての"描写”。
なるほど、そうか。
寝る前に町田康の芥川賞作品、「きれぎれ」もパラパラと再読してみる。
あぁ、因果関係のルツボ。オンパレードやんかぁ。
それを彼の場合、描写でというより、リズム感で巻きに巻いて独特の世界を醸し出している。
石原文学、あえなく振り出しに戻る…の巻である。
そういえば、この「スワロウテイル」劇場版の販売用パンフレットって、湯山さんが編集してたなぁ…。
あの人はもっと一刀両断的にこの映画を評価するだろうなぁ。