『若沖展』 @ 相国寺承天閣美術館
2007年 05月 28日
会期が短く、今週が最後のチャンスなので、会社のMeetingをブッちしての強行におよぶ。
彼の代表作である「動植綵絵」が、あるべき場所にあるところをひと目観たかったのである。
そもそも、相国寺に自分の永代供養の布施として寄進した絵なのに、明治維新時に薩摩&長州の田舎モンが皇室に献上させたという日本美術史の悲劇がここにもある。
しかし、この寺に保管されてなくて良かったかもしれない(後述)
鶏だとか象だとかも良いんだけど、僕の最愛の若沖はコレ「月下白梅図」である。
この情感がたまらなく良い。若沖は無理矢理に鶏やら像を描かされていたに違いないと思うのだ。
そもそも、彼の襖絵や、風景画には何か空気(というか風)が流れているのだ。
有名な鶏やら象にはそういった”風”が全く流れていない。凪いでいるというべきか。
今回はコレに再会できただけでもめっけもの☆
大金持ちになったら絶対に欲しい逸品である◎
肝心の展示であるが、端的にいうと最悪である。
日本経済新聞社との共催らしいが、もうちょっと現実というか作品の事を考えて欲しい。
90分待ちというのは、まぁ良い。日経がタダ券をばらまかなければ、良かっただけの話。
問題は展示方法。
◎第一展示室→せっかくの襖絵をセット込みで展示しているのだから、もっと退いて鑑賞したい。なんとかがんばって退いて観ていると、ガラスに変なライティングが当たって見えん(最悪)
◎第二展示室→圧巻の極彩色の掛け軸。詰め詰めに展示し過ぎ。空間との調和をもって若沖とするのであるから、もう少し気を遣って展示してほしかった。中国・桂林の水墨画売り場ではない(最悪)
というワケで、”坊主丸儲け”な展示会にしては、あまりにも金がかかっていなかった。&日経にタダ券もらったジジババが殺到し、i-Pod無しでは鑑賞ままならぬ。
「ええのか?若沖!」と叫びたくなる展示会でした☆
もはや、ここまでの芸風を持つ作家は、日本古美術の枠に収まらず、何らかの現代人の企画性というかアレンジが必要である。
あるいは百畳敷きの大広間にポツン…とか。
キュレーター如何によっては、いかようにでもアレンジできる素材なはず。そこん所を墓があるから的な坊主の頭とセンスでは限界があるわけで、「センセ~いいですねぇジャクチュウ」などと猫なで声な日経の学芸担当取締役が考えた範囲を超えていないのである。
一度でいいから、「バスキア+若沖」とか、「DALI with 若沖」などといった企画展を観てぶっ飛んでみたい☆それならば主催/BRUTUSもギリギリ赦そうと思うのだが…◎