『日の浦姫物語』井上ひさし/作、蜷川幸雄/演出
2012年 12月 20日
そして彼の偉業は今も多くの舞台人からリスペクトされ続け、今年は多くの「井上ひさしリスペクト」舞台が楽しめた一年だった。
今作は彼の多くの戯曲の中から「日の浦〜」を蜷川幸雄が演出、そして主演は大竹しのぶ、藤原竜也というヨダレもののキャスト陣でチケ発から期待大の舞台だったbのだ。
観終わった後の最初の感想…。
「まるで急流滑りの様な芝居だった」とマジで思った。
ずっと平坦で少々ナメてかかってたら、最後にもの凄い急勾配で思わず声を上げてしまう様な…。
「いわゆる近親相姦モノのよくある話で、芝居は巧いし、台詞はええし…、まぁこんなもんやろ」と余裕綽々で場は進む。そして誰もが想像する結末にグイグイ向かって行ったラストシーン、十二場「奇跡」の10分ほどの芝居に会場中が釘付けになって息を呑み、そしてあるものは涙をすする…という井上ひさしマジックに完璧にハマってしまったのである。
板の上の役者にとってはたまらない10分だったんだと思うし、そういう戯曲を書いた井上ひさしという人を全ての舞台人がリスペクトするのもよくわかる。
説教聖と三味線弾きの女を演じた木場勝己と立石涼子という名優連がキッチリ脇を固め(というか実のところ主人公はココなわけで)、そこに千両役者である藤原と大竹がデン!と芝居するという、蜷川さんならではの安定感ある、計算された不安定感…。まだまだ感性は若いんだなぁ…と観客として恐れをなしたのである☆
その大阪千秋楽は会場中がスタンディングオベイションに包まれてカーテンコールは3回続いた。