『ロッキーホラーショー』 いのうえひでのり / 演出
2012年 01月 22日
PARCOプロデュースによって、いのうえひでのり演出による、あのロッキーホラーショーを演る!というニュースを聴いて「あぁ。それ演りますかぁ…、まぁいつか演りたかったやろなぁ…」と様々な思いが過ったのを思い出す。
1973年にロンドン小劇場の聖地、ウェストエンドで幕を開けたコメディーホラーミュージカル。
脚本と音楽はリチャード•オブライエン。2年後にジム•シャーマンによって映画化され、世界中でカルトなブームを巻き起こした。
ボクは幸いにも、そのカルトなブームが日本を席巻した第何波かの折りに、5回ほどこの映画を観ている。
多分1980年代の後半。
映画館に米、新聞紙、ライターやボロ布を持ち込んでのライブ映画鑑賞であった。
その頃を知っている人は現在はほとんどが40歳以上。
良くも悪くも、観る者が、このオリジナル版のThe Rocky Horror Picture Showを映画館で体験したか?しないかで大きく評価の分かれる今作となった。
個人的には良かったんじゃないかと思う。そもそもが単純なストーリーだし、古田新太のリサイタルとして観た場合には大きく◎だったと思う。
特に岡本健一が良かったし、いのうえの原作に対する解釈も面白いなぁと思った。
要するに今作の悲劇をあげるとすれば、「新感線で動員して、いのうえ&古田の原作への愛情が強すぎたという事。それに周囲の制作陣が追いついていかなかった所(別に追いつく必要はないのだが…)
原作の”あの感じ”が伝わらないままに、古田新太リサイタルとなってしまった事だけだ。
でもほぼ同世代のいのうえ&古田が、この作品を上演しなければいけなかったし、また今の日本にこの作品を舞台化出来るのは、彼らしかいなかったというだけだ。
そういう無理を演劇界で通せてしまう、いのうえ&古田の存在力に感服すると共に、カルトというジャンルそのものを、もはや今の時代が欲していないのだな…と少し悲しい気持ちになった。