『ラブレター』 内藤裕敬 作/演出
2010年 11月 14日
そういう意味でも今作は近年の万歳なるものの集大成。しかも看板自ら基本に戻って段取りに入り、そして台詞のキャッチボールをするという団体戦。内藤さん自ら段取りを行うという危機状態から脱出したが、じゃその先に何をやろうか……と。座長自ら答えの出せない感が漂う芝居であった(いい意味でですよ)
今作のテーマである”巡り巡って元通り”ってのは、きっと今の小劇場そのままの状況の事かもしれない。
組織的な演劇振興を夢見て、その第一線の旗振り役として突っ走って来た内藤氏にとっては、もはや6帖シリーズにも戻れない。かといって「滅裂博士」な疾走感もどうか……。
そうなると、やはり内面にそのテーマを向けるのであって、また熟練のキャスト陣はそんな内藤作品のパーツとして遜色ない動きをしてくれる。
巡り巡ってここに来て、結局あのラブレターを開いたら、またあの頃の残像に悩まされ。
劇団30年、さぁ内藤サンはどこへ向かうのだろう。
破壊するのか、もしくは昇華するのか?どちらも楽しみだし、エールをおくりたいのは無責任過ぎるだろうか?