『石川五右衛門』 市川海老蔵
2009年 08月 22日
久しぶりに歌舞伎。
しかも新橋演舞場。この小屋は歌舞伎座よりも好きだ。
演目は「石川五右衛門」新作の歌舞伎である。
先頃、襲名した新生、海老蔵と、その父である團十郎との競演。
話も日本人には馴染みのある石川五右衛門の伝説を、独特の解釈でおもしろくアレンジされたもの。
いやぁ、面白かった。
七之助くんの女形もとっても美しく、ひと皮向けたなって感じの好演。
そして何よりも海老蔵の海老蔵たる堂々とした演技が見物だった。
あまり歌舞伎を知らない人も楽しめるよう、様々な工夫、アレンジ、そして舞台美術と、市川家痩身の新作歌舞伎という感がある。
海老蔵が新之助だった頃、北新地のクラブで同じになって、遠くで飲んでる彼はジャージ姿でレロレロに酔っていて、なんだかいけ好かない若者だと思って見ていた。
自分がトイレに行く事になって、トイレに行くと誰かが入っている。
しばらく待っていたら、中から新之助が出てきて「お先に失礼しました」と、あの目力で言われたのである。
電気が走るとはあの事だと思う。
こちらはオッサンだが、新之助には抱かれてもいいと思った。
あれだけの観衆を魅了する見栄を斬るあの目力を一瞬独り占めにしてしまったのである。
今作も海老蔵の十八番芸であるあの見栄炸裂である。
まるで浮世絵が動き回ってるような錯覚。
市川海老蔵、名優である。