イシハラマコトのマンボな日常へようこそ☆


by nestvision
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ:読みました!review( 85 )

文学学校の「文章講座」の課題図書でもあったので、なに気にアマゾンで探していたら、なんと絶版。これは何としても手に入れなければ…、と購入。

十編のきれいな物語で構成された綺麗な短編集。学生時代に詩を書いていたという作者だけあって、ものすごい描写力だと感心する。
中でも「釘を打つ」という小品に感動した。

こういう短編が本当に書きたいなぁ。やっぱりやっぱり三十枚というのは、ひとつの壁だと思うのだ。どうやったら、あの枚数でシンプルかつふくよかさを出せるのか…。

岩阪作品を読むと、ものすごい量の推敲の後がみられて心地よい。まさに言葉を紡ぐという感じ。とてもキメの細かい繊細な文体が心を射る。

いい☆五つ星☆
by nestvision | 2007-10-08 10:41 | 読みました!review
この一ヶ月弱、自分の駄文を推敲の数だけ読みすぎて、きれいな岩清水のような文章に飢えていた。流行の作家ではなくて、もっとキラッとした文体。ミステリーで無く、エッセイでなく、あくまでも純文学で…。

こういう時の解毒剤は、やっぱり夏樹さんだと思う。
転校して来た隣の生徒が、ヘンな訛りでポツリと呟くような違和感。
そういう感じが池澤夏樹文体の真髄ではないかと思う。

最初にこの作品を読んだのはいつだったろうか?
芥川賞をとって、それで…って頃だろうから1990年より前だったんだろう。
あの頃には気づかなかった緻密な変態構成が心地よい。

やっぱり、解毒剤はこの人の作品だと思う。

もし無人島に行くのなら、この人の作品集か、内田センセか、どっちか迷うなぁ。でも内田センセには共感できない部分もあるから、一冊だったら夏樹さんかなぁ。

駄文を読みまくった私の脳が、少し洗われたのでした。
by nestvision | 2007-09-30 21:47 | 読みました!review
8月最後の日曜日。(ってか9月になったけど)
最近、話題の作家でもあるので読んでみようと、吉田修一の最新文庫をなんとなく買う。
そして半日で読了。

面白かった?……、ううん微妙です。ってか、新しくないし、職人の十割蕎麦を食った感じ。

この人って、「文學界」の新人賞候補から、次年に新人賞をとってデビュー。
当初から芥川賞候補になりながらも、一度もとっていないという作家。

その理由がよーくわかった。
この「ランドマーク」も、とあるビルの設計者、そして飯場で働く若い男性。
それが主軸になっていて、パラレルに人間関係の中の綾というか、微妙なバランスに悩み、そして生きている。そういう儚さを、巨大な建設中のビル建築の蘊蓄と共に語られる。

すらすら読める。
いや、むしろすらすら読めすぎるのだ。
何の引っかかりも無い。
そもそも、作者の視点が”ボン”過ぎる。
熟練のスタジオミュージシャンのコンピレーションのCDを聴かされている感じ。
全く文句は無いけれど、もう一回聴きたいかと問われると、何を聴いていたか忘れている感じ。
あぁ、なるほど、だから芥川賞が絶対にとれないんだ……と納得。

描写もいい、構成もいい。でも棘がない。

きっと、「文學界」の担当編集者がどうやらとってもデキる人のようだ。
絶対に芥川をたらせたかったが、そこだけ望み叶わず。
吉田くんというよりも、担当編集者の敗北であるかもしれない。

編集者としては、きっと模範的な書き手なんだろうなぁ…などと邪推する。

自分的には得るものが無し。しばらくこの人の、きっと読まないと思う。
by nestvision | 2007-09-02 20:52 | 読みました!review
第三十七回芥川賞をとった話題作。
珍しく「文藝春秋」誌上にてホットな感じで読む。

感想→僕ダメですね。全然あかん。
そもそも選評が読みたくて「文藝春秋」を買ったので良いのだけれども…。

僕の個人的に好きな作家たち(小川洋子、川上弘美、池澤夏樹)といったお歴々が、この作品を推しているのを読んで、少なからずショックを受ける。

対して、あまり好きでない作家(石原慎太郎、村上 龍)らの意見に僕は最も近い。石原氏は「極めて退屈、あるいは不可解…」とボロクソに書いてるのが面白かった。

宮本輝さんの選評「~、哲学的論考が、私には所詮観念に過ぎない思考の遊びに思えて~」という選評が一番ピンときている。」

この作品は第五十回群像の新人賞も受賞しているとやらで、何が良いのかさっぱりわからんのである。

石原氏の書いているように、図形を用いるのは作家としての敗北だと僕も思うし、何よりも吃音の人が話す不可解なワードが、どうもリアリティが無い。

群像も芥川もとって、僕の大好きな作家連に絶賛されるのが、僕にはわからない。きっとこれは僕の問題だろうと深く反省もしてみるが、僕はやっぱりわからない。

誰か答えを教えて欲しい!と切に願うのであるが…。
by nestvision | 2007-08-16 23:55 | 読みました!review
ますます筆力の上がった小川センセの好短編。
描写をしない描写力というんでしょうか?登場人物の息使いを感じさせるのは、他の流行作家を押し退けてピカイチだと思う。
そして、なんとなく異空間をリアリティーに書き上げる妙技というか、必然を創造する力。
人間はある意味で何かに呪縛されていないと不安であるという大テーマと読み解いたのだが。
呪縛はいろんな形態で人間に忍び寄る。恋愛、さまざまな欲、回帰願望とか…。
一度、小川洋子の短編を書写してみようと思う。
by nestvision | 2007-06-22 01:11 | 読みました!review
出張の行き帰りって事で”軽いもの”で購入。
実は僕は”江戸時代好き”です。
「江戸しぐさ」というのが、薩長が書き残した江戸文化とは全く違ったものであった事や、結局関西人が江戸という粋を創ったのだと再確認しました☆
あぁ、江戸時代に生まれたかった◎
by nestvision | 2007-05-05 03:20 | 読みました!review

旅の途連れ本

b0025405_1638054.jpg「長崎へ行こうと思う。行っても長崎に用事はないが。用事の有る無しに拘わらず、どこかへ行くという事は、用事に似ている。だから気ぜわしない…」

これは敬愛する百鬼園先生の長崎阿呆列車の書き出しである。
そういうワケでもないが、今夜「特急あかつき」というブルートレインで長崎に向かう。

旅の本を選ぶ。
端から新刊本は持っていかないと決めていた。
結局はこの二冊を持っていく事にする。

向田邦子の「男どき、女どき」
内田百間の「続・百鬼園随筆」

やっぱこの二冊なんだなぁ…と納得しておりマス☆
by nestvision | 2007-04-01 16:38 | 読みました!review
あぁ、落ち込む。なんて巧い作家だろうか…。せめてもの救いは荻原さんが1956年生まれで、僕より世代が上というだけかなぁ。地方公務員の主人公、そして新婚時代はとっくに過ぎた夫婦間。まだ果たせぬ青春の残像。ものすごくリアリティ豊かに書く人だ。
なんといってもラストシーンの設定の仕方にノックアウト。僕は小説のこういうラストが大好きだ。自分でも何度かトライするが、成功した事がない。落ち込む…文章を書くことをやめようかとも思わせるすんごい作品。荻原LOVEです。
by nestvision | 2007-02-17 16:37 | 読みました!review
ずっと禅的な思想には興味が尽きない。
要するに僕が指向するのは、すべからく”禅”であるとしか言いようがない。

雨が降るから傘をさす。
金がないから寝る。

左脳的な思考を最もバカにして生きると言い切る著者。
出来たら猫のように、伸びをして暮らす。

そこから”風流”が生まれ、”粋”に昇華する。

JAZZは禅であり、Rockは瞑想であり、マジックは禅問答であり、小説は修行である。
ギリギリまで左脳で考え抜き、ある時(瞬間)にやって来る右脳的な閃きを得る。

過去に囚われず、未来にも囚われない。
今は今ではなく、今はいまでしかない。

そう読み解いてみたが、著者の意図どおりなのかどうかはわからない。

禅宗の僧侶が書き起こしたわかりやすいコンセプトブック。おススメです!
by nestvision | 2006-12-14 15:30 | 読みました!review
「まゆみのマーチ」「あおげば尊し」「卒業」「追伸」の4編の収められた短編集。ご本人による「文庫のための後書き」にもあるように、緩やかな連作というスタイルは、筆者のみならず、新潮社の担当編集者のセンスの良さが窺える。

まず初っぱなから心ならず泣いた。僕が同じ40歳代だからだろうと思う。ものすごく緻密に40歳代の男性を描写している。

「~一からやり直すのは難しそうだし、しかたないんだとあきらめて過ごすには先が長すぎる~」(卒業より抜粋)

この4編の主人公はみんな40歳代の男性。こういう感覚って、20代や30代には絶対にわからないだろうなぁ。僕もここ最近になってやっと、こんな事を強く思うようになったから…。
多分、このブログの読者の大半は40歳代の男性心理なんて興味はないだろうが、是非ともこの世代を理解して頂くには好著だと思う。

絶望はしていない。しかし達観は出来ない…。そんな世代に自分も差し掛かったのだろうと思う。

そして、なぜか4編とも泣く。
by nestvision | 2006-12-10 22:04 | 読みました!review