イシハラマコトのマンボな日常へようこそ☆


by nestvision
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カテゴリ:読みました!review( 85 )

ナイトキャップ代わに気軽に読んだのに、数時間で一気に読了。
少年犯罪、少年法、被害者家族の問題。
さまざまやテーマを含んだエンタメミステリー。
さすがにプロットの立て方が名人芸だなと思う。
ますますこの人上手になってるなと思う。
登場人物の全てが今の僕のジェネレーションを被っていて、人ごとでなく、思わず感涙。
by nestvision | 2011-01-31 03:16 | 読みました!review
b0025405_22393287.jpgほやほやと読了。
講談社100周年記念出版「書き下ろし100冊」にラインナップされた町田康の最新刊。
実は最初、読むなり放り出した。
僕の町田作品に対する最初の反応である。たいへん読みづらいし、毒々しいというか馬鹿馬鹿しいのである。
いわゆる散文か?と思わせるバラッバラのエピソード&モチーフ。
しかし放り出してから1〜2週間ほど悶々と悩むのも、ボクにとっての町田作品の特徴だ。
「もしかして、そーゆーこと?」などと思い直し再読を迫られる(まさに迫られる)
そしてボクはお正月に再読を開始したのであった。

やはり、バラッバラのエピソードを紡いでいるが、恐ろしいほどに文体は一定。
しかも視点は常にある定点から恐ろしく冷静に俯瞰していて、文学として全然成立している事に気づく。
今回の作品は「感情のテロリズム」だと自分なりに思った。帯にも抜粋されているように”美しくも儚い人間小唄”なのである。
人間が誰しも持つ人格の破壊衝動をストレートにど真ん中に描写しつつ、それでいながら非現実的な登場人物が、もう口臭の善し悪しまで伝わる。描写っていうんじゃない。迫る。肉迫な感じ。
要するにボクは最初にこのテーマを発見できなかったというワケだ。

何が感想なのか?読んだ本人にもわからないが、心になんともいえぬ”鈍痛”が残る作品。
だとすれば、日本で絶滅寸前の純文学として受け入れる他ないのである。

いずれにしても、町田作品の毒にはいつも当てられる。注意すべき書き手であるのは誰もが認めるが、やっぱり今回も抉(えぐ)るのである。"感動していないのに抉られる作家"って、彼をおいて他に今のところ居ないんだなぁ。実際。
by nestvision | 2011-01-10 22:13 | 読みました!review
そんなに好きな人ではなかったけど、読んでみようと読んでみた。
「あぁ、大マジメに中森明夫は書いたんだ!」と思った。
彼がやってきた仕事、その根底にあるマグマみたいなものを、真正面から直視して何年か経ったんだろう。
そこに大杉栄という、今のニッポンにおいて、消そうとも消せない、ある種のまやかしであり、真実である史実。
それをアナーキー>>転嫁させてシド・ヴィシャスをも物語に練り込んだ、壮大な思想クロニクルだった。

なるほど!と思ったのは、大杉栄は明治〜大正を生きて、シンジくんは平成生まれであるという事。
昭和という時代をフォーカスしたのは斬新だった。
ロストジェネレーション。確かに軍国主義までのニッポンの帝国主義は理想に燃えていたように映る。
敗戦、昭和20年あたりから失われた10年を経て昭和が終わるまで。
自民党が闊歩し、税金はおろかニッポンを借金大国にしてしまったのもこの40年ほどの出来事だ。
それを昭和の申し子である中森明夫が書き、同じく昭和世代が深く頷いて読む。
まさにマルコム的な悪戯だなと感心した。

はっきり言って面白かったし、小説としてもかなり練り込まれている。
推敲というよりは、何度もリハーサルを重ねたリズム文体の集大成。ある意味で21世紀文体のひとつの回答。

「僕は精神が好きだ!」という大杉栄の言葉を背骨にして、綿密なる大杉論をちりばめて、なかなかロックファンにも納得のパンクロックを記号ではなく、具体化した読ませ方は凄いなと思った。

後半はもはや、原稿用紙上のライブであって、構成がどうのとかそういう問題ではなく、ぐるんぐるんと文体のサウンドが響き渡るのは斬新だった。

主人公のシンジの草食感も実感をともなって読者と同化できるし、青春小説のおいしい部分を巧く調合した所はもの凄い編集的なセンスがみえた。

中森明夫の質感は嫌いだけど、この小説は後世に残る名著である。
by nestvision | 2010-12-05 11:25 | 読みました!review
b0025405_11331687.jpgこの読後ブログもずっとさぼっていたのですが、本当に深く感動した作品だったので久々に。
内容の割愛は避けますが、とにかく現代に身を置く人間が、誰しも持っている心の不安感を、キッチュなエピソードで描くのではなく、本当に毎日の生活という膨大な時間をトレースして描いた意欲作だったと思う。
誰も悪人が存在しない。いや著者自身が悪人を登場させたくない!という強い祈りのような願いがにじみ出ている。
司法や行政の細かな、しかも現場でしかわからない事柄の多くは、丹念な取材でしか得られなかっただろうし、何よりこの1000枚の原稿には、膨大な推敲の跡が見てとれる。
選び抜かれた表現で淡々と、読者を置き去りにせずに時間を進めてくれる。
そして、様々な心理描写には、作者自身の精神の葛藤を経験した凄みも加わって、重量感を増していると思えた。
ラストの”救い”には思わず涙できたし、何よりも読み手が「明日もがんばっていこう」という希望を与えられる部分は作者の想像以上に膨らみを放っている。
5年という短い時間だが、小説を書き始めている身にとって、溜め息が出るような緻密な筆致をみせてもらったし、改めてその頂の高さを実感する作品だった。
まるで絹織物のように丹念に練られた小説だったと絶賛したい。
by nestvision | 2010-11-04 17:41 | 読みました!review

コミック2点に☆5つ

b0025405_1853212.jpgボクが「一冊だけ持って旅に出よ!」と言われたら迷わず選ぶ、内田百鬼園センセの「阿呆列車」。
それを何とコミックにしてしまったらしい。IKKIコミックという所から、作画を一條裕子が担当して。原作のテキストそのまま吹き出しで使用するという百鬼園党にはたまらん一冊。
現在1号となっておるから、原作通り、3号まで出るんだろうなぁと密かに期待するのである。



b0025405_18562692.jpgおつぎがコレ。泉昌之による13年ぶりの短編集。
出てくる主人公、みんなオレではないかと感動する。
「深夜食堂」の叙情性は無いものの、何と言ってもシュール&リアルなオッサン食文化がオンパレード。晋遊舎という出版社から出ている。
奥田民生による帯コメントも秀逸でもちろんジャケット買いという速攻さでありました。
by nestvision | 2010-02-25 19:00 | 読みました!review
ため息が何度も出ました。
感動のため息、絶望のため息、…、本当にいい作品ばっかり。
最初は「浅田ってプリズンホテルじゃん…」と読みもせずに馬鹿にしていたのだが、たまたま新幹線で読むものがなく、KIOSKで買う。
中には7編の短編、そして自作解説あり、桜庭一樹の解説ありで、本当に楽しめたのです。
表題作「月島慕情」はなんというか、胸をえぐられるような感動。
ボクは「めぐりあい」という作品に泣きました。
本当に、短編の中の短編。ボクの中では向田邦子の『思い出トランプ』以来の感動だった。
短編とはこういうものだという教科書のような練られた文章。
思わず、同期Mに震えながらメールを打ちました。
みなさん、絶対に読んでください。小説のスタンダードがここにあります。
by nestvision | 2010-02-10 20:33 | 読みました!review

驚愕と共に反省☆

b0025405_17582545.jpg今テレビで大量スポット広告連発中のアレです。D社の「週刊 ○戸」でございます。
「なかなか資料的にいいじゃん」と、創刊号をゲット。
特性ファイルも注文しちゃおうかなぁ…というノリノリ状態。
パラパラめくると、江戸の風俗が一覧できて便利そうだったんです。

そして、少し腰を据えて読み始めたワタシの顔はみるみる曇っていくのでした。

ここまで"編集されていない"編集物を見た(読んだ)のは初めてです。
ビックリしました。
小学生の学習図鑑からリライトしたような薄〜いキャプション。
主語を見失ったボディテクスト。
毎日小学生新聞の購読おまけに付いている付録のようなキャッチコピー。
市役所の「市民だより」に出てきそうなイラストの数々…。

驚愕です☆

D社には何の責任もありません。
大衆にオモネってしまったボクが悪いのです。
自分が曲がりなりにも編集者だという事を失念しておりました。
ちゃんとホッチキスを外して、資源ゴミの日に出します。
牛乳パックや、公園のイスになってくれたら本望でございます。

嗚呼。

この内容であれだけのテレビスポットを打つと、あんなに売れるんだ!
大変失礼いたしました。

嗚呼。
故人、杉浦日向子師匠に、何と弁明すればよいのでしょうか ???
少なくとも拙者は十二分に反省をしております☆

PS 「でもラジコンカーやったらええんちゃう?」と「週刊フェラーリ」が欲しくなってるオバカなボクです。
by nestvision | 2010-01-26 18:06 | 読みました!review
b0025405_2114251.jpg

営業時間は
夜12時から朝7時頃まで。
人は「深夜食堂」って
言ってるよ。
客が来るかって?

「それがけっこう来るんだよ」




この名セリフで始まるコミックスの名著。
新宿の架空の深夜営業のめしやが舞台。
オカマだったりヤクザだったり、ストリップの踊り子だったり。
そんな人間模様の中に、心の澱のようにでてくる懐かしいメニュー。
「猫まんま」「タコのウィンナー」「あじフライ」とか。

こういう小説が書きたいんだよなぁ。
最近はこれドラマ化されて、店主を小林薫がやってる。

久々に、心に滲みるコンテンツ。
あぁ、酒が呑みたいなぁ。
by nestvision | 2009-11-20 21:10 | 読みました!review
b0025405_10555334.jpg向田邦子さんの生誕80年を記念して文藝春秋から出ている新装版の全集。
現在は2巻まで。「思い出トランプ」と「あ・うん」である。
自分の読書歴の中で、常にベスト1、もはや孤高の域にいる、ボクにとっては特別な作家。
その作品を、素敵な装丁で、かつ練られた文字組みで読めるのは、本当に幸せだ。
これは、どこでどう読むか?が問題で、まだ読まない事にしようと思う。
それまで、ボロボロの文庫本を繰り返し読もうと思うのである。
by nestvision | 2009-06-21 11:00 | 読みました!review
心から感動する作品群。
そもそも、この光文社文庫のシリーズがいい。装丁から挿入画まで、完璧に近いコレクション・アイテム。
そのほとんどを、カッパノベルズから新書で出ていたそうだが、今回は、松本清張による自選。
そして彼自身のあと書きも付いていて、とってもお得。

[氷雨]
いわゆる昭和初期の料理屋の女の葛藤。
よくまぁ、あれだけ情景を読者の頭に刻みつける文章が書けるものだと思う。

[千利休]
「芸術新潮」の企画で執筆された作品。誰でも知っている歴史上の人物を短編で表現しようという面白い企画。これもよくまぁ、60枚ほどで、利休のすべての人生が滲み出るような物語だった。

とにかく、短編とはこういうものだと改めて自作が情けなくなるばかり。
本当に、巧い人だと思う。
まだまだ、このシリーズ、読み続けようと思うのだ☆
by nestvision | 2009-06-07 21:13 | 読みました!review