イシハラマコトのマンボな日常へようこそ☆


by nestvision
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カテゴリ:読みました!review( 85 )

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遅ればせ未読の文庫を読了。
なるほど、そういう事なのか……と少々考え込んだ。
1.読み進める明快な文体。
2.読者をだれ一人置いてきぼりにしないという技。
3.極力時勢案内は周到に随所に織り込む。
4.会話に地の文を入れこむ周到さ
5.読者想定の視点人物に語らせる
6.史実の螺旋解説によって史実を明快に構成
7.「あぁ、そうだったのか!」の創設
いろいろ勉強になった。なるほどなぁ。
by nestvision | 2013-08-19 01:59 | 読みました!review
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文学を志す人間にとって、村上春樹は劇物である!とはよく文学仲間の雑談で出てくる話題だ。もはや彼の文体に引っ張られ、危うい初心者は単純に模倣してしまい、模倣している自分にも気づかせてもらえないという、文体のニトログリセリンの様な人だ。

久々に、極めて真面目に彼の3年ぶりの書き下ろし長編をじっくり読んだ。

まず小説を書く人間にとっての感想として、「よく練られたまるで国宝の千手観音を観るような小説」であったこと。彼の特徴として視点が時々コロッと転換してしまう。僕たちレベルの合評だと「ここ、視点が変わっちゃってます」な指摘が出そうな部分でコロッと変えている。当然ながら村上はそれを計算している。ジャズのコードでいうテンションである。ルート音からみれば完全な不協和音であるが、そのテンションを付加する事で何ともいえない深みが出る事を知っている。Cmaj7をCとBの二音だけで弾く様なものである。
そして描写は相変わらず恣意的で美しく、最も多くの読者を虜にするお家芸だ。中でも神の声のような文章(もはやコピーライティング)を様々な登場人物に呪文のようにサラッと言わせる。
そして独特の読後感。小説そのものではなく、読者は自分の人生を振り返る。
純文学、ファンタジーなどを越えたジャンルとしての「村上文学」だからこそノーベル賞候補に常に名を連ねているというワケだ。

そして個人的な読後感想。
これは村上春樹の自分史ではないかと思ったのはボクだけだろうか?
テーマは一貫して、他者と自己。客体と主体。そして自己の中の他者や、主体の中の客体などが、万華鏡の様に交錯するように綿密に設計されている。
人間は誰しも、心の中では主観的に物事を考える。しかしその主観は果たして本当に自己から滲み出た個性あるいは普遍的な自分…では一切無いのだという、何となくみんなが薄々感じている事を横糸に、意見陳腐なキャンパスものを舞台にドラマツルギーを展開する縦軸とで織られている錦絵だ。
誰しも登場人物が自分に酷似している事を思い知らされ、そこに救いを得るという構図は、なかなかやっぱり村上春樹でしか書けないな。
多義的というか、シンプルなブルース進行というか、文学によって読者が得られる”何か”をバージンオイルのようにとことん純化してしまったような小説だった。
ヤバいヤバい。村上ワールドから早く抜け出ねばならぬ!と、少々焦った一作でした。
by nestvision | 2013-08-04 17:17 | 読みました!review
b0025405_130473.jpgもちろん読まねばならぬ。…というか届いて数時間で読了した。
元「キネマ旬報」編集長であった掛尾さんは、やはり優秀な編集者なんだと読了後思った。
ぴあ社長である矢内廣と同世代であり、映画研修会周辺での同じ歩調をとってきた人で、映画業界人からみた、映画情報誌「ぴあ」への大いなるオマージュとして書ききっていた。
ぴあに在籍した人、そして現在も在籍する人それぞれが「それだけではない…」と思ったと思うが、しかし何処にも湾曲された部分はないし、事実なのである。光のアテ具合によって、掛尾は素晴らしい青春群像記録として編集したというワケだ。
特にわれわれ、ぴあに縁の深い者にとっては@第二章あたりからいきなり面白い。
黒川さんとその前後、中大ブントの高須氏がここまで矢内と深く関わっていたのは教務深く読んだ。
そしてラストは紀伊國屋書店の田辺さん、教文館の中村さんの逝去で締めるという、何とも絶妙な構成であったと感心した。
映画ファンにはたまらない、監督、作品がさすが掛尾さんらしく散りばめられていて、それだけでも資料になりそうな勢いである。

ぴあといいう情報誌が役目を終えた理由のひとつに、映画興行界の大変革というものがあった。二番館、三番館が次々と無くなっていき、極めつけはシネマコンプレックスという、もはやぴあを否定するシステムに飲み込まれていくのである。
そういうエポックの前夜から、我々の先輩世代の中にあった「ぴあは映画情報誌からレジャー情報誌になろうとしている!」という第一のパラダイムシフトが起きた。
それを乗り切って、ぴあは大企業(的な)地位にトントン拍子に上りつめて行くのだが、そこらあたりを、キャプテン〜PTSまでの事業構造の変革という論旨で括ってしまってる所に物足りなさを感じた。
(確かに外部の人間からは、チケットぴあという核弾頭の誕生の意味など、なかなか理解は出来ないと思うし、説明をスラスラ言えるぴあの人間もほとんどいないだろう)

要するに、掛尾さんはじめ、 70年代の映画オタクたちにとって、矢内廣はアイドルであり、一番の成功者であったという軸がブレていないから、ものすごく清々しい読後感を与えてもらった。

大変に”ぴあと近かった他人”が書いたからこそ、明快なぴあストーリーになったんだと思う。
by nestvision | 2013-05-02 13:02 | 読みました!review
第百四十七回、芥川賞受賞作。文藝春秋9月号掲載を読む。
今回はしばらく続いたキッチュな作品ではなく、いわゆる小説らしい小説。しかも優等生な作風えある。対抗馬に舞城王太郎の短編が出てきているのが象徴的で、売れる作品、芥川賞として獲らせたい作品のせめぎ合いがあったように思う。石原慎太郎が選者から降りて、ムカつく選評はなかったが、各選評者もここに大きく悩んだ感じがする。
本作は、いわゆる家族をテーマにした、まさに冥土めぐりな内容。じっくりと心に浸み込ませる技術は流石に巧いなと感じた。大阪文学学校好みの作品でもあって、そういう意味で純文学の優等生的な存在だと思う。
でもなぁ…、こういうの売れないんだろうな。読者がビックリしないし顔をも背けないし、夢をも見れない。要するに中高年向けの小説である。バクっと売れない。
何だか、どーしたらええねん?と自分自身に突っ込むような、妙な読後感であったのだ。
by nestvision | 2012-08-26 19:14 | 読みました!review
恥ずかしながら、遅ればせながら、読ませて頂いて泣きました。
遠い遠い昔に、切り取った一瞬を一緒に過ごさせてもらった奥野さん。
ボクがぴあという会社で音楽イベントに関わり出した頃にデビューしたROGUEというバンドのボーカリスト。
すごいストレートなサウンドで大好きだった。
「ぴあデビューレビュー」でのライブ、その後は天王寺のアリスという小さなライブハウスで無理矢理にライブしてもらったり…。関西でのライブは夢番地が仕切っていたと思う。キングからの鳴り物入りのデビューで、ぴあもチカラを入れていたアーティストだった。
ボクは入社何年目かで、音楽担当になって主催のイベントなどを企画する仕事をやっていた。
メンバーと何度もライブ後の打ち上げで飲んだり、うどんやたこ焼きを食べに行ったりしたと思う。



そんな奥野さんを約二十年ぶりに Facebookで発見。
本当に憶えて下さってたかどうか定かではないが、すぐに申請を承認してくださった。
毎日、含蓄の有る事を呟かはるなぁ〜。と思いながら、ふと彼の著作を知る。そして読んだ。
ミュージシャンとして順風満帆だった2008年9月11日に不慮の事故で脊髄損傷という障害を持たれ、そして車いすでの生活を余儀なくされていらっしゃる事を知った。
会わない時間(もちろん相手はアーティストだしもう会う事もないと思ってた)に彼の大きな転機を知り、そして今の生き方に感動して読みながら泣いた。
どうか、みんなにもこの本を共有して欲しいと思います。
遅ればせながらのブックレビューですみません。いい言葉がいっぱい飛び込んできます☆
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『いろいろあるさ 生きてっからね』
奥野敦士(実業之日本社) ¥1,300
amazonでの購入はコチラ
by nestvision | 2012-07-24 15:13 | 読みました!review
2012 2.26 OSAKA Nakanoshima ABC hall
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伊藤えん魔プロデュース『ビリィザキッド』を観るために中之島のABCホールへ。
ウェスタンスタイルのハードボイルド。いつものえん魔節全開の活劇テイスト。
今回もえん魔プロデュース。えん魔さんが、あうんの呼吸で芝居出来る名優たちが集結。
美津乃あわは勿論のこと、ビリィには宮都謹次、ボクの大好きな化石オートバイからは山浦徹。そして何より怪物俳優になりつつある坂口修一の安定感のある芝居は観ていて安心だった。
途中のアドリブや、トチった後のフォローもすべてがわかり合った仲間にしか出来ない呼吸、間である事はちょっとすごい域にあるな…と思ってしまった。
とにかくファントマ/伊藤えん魔ものは観終わったあとにスキッとする。スカッとする。
それはすごい事だと思うのだ。

b0025405_2211329.jpgb0025405_2274753.jpg世界一カッコええ舞台女優、美津乃あわさんと2ショット。そして久々に再会の怪優、坂口修一さん

b0025405_2214444.jpgb0025405_2221075.jpgたまたま観劇に来られてた南河内万歳一座鴨鈴女さんとファッションモデルのRIOちゃん

by nestvision | 2012-02-26 22:20 | 読みました!review

読書会は「ののの」

2011.3.5 Osaka Tsuruhashi

b0025405_22351453.jpg前回から参加している「新人賞読書会」。
今回は第42回新潮新人賞を獲った、太田靖久『ののの』がお題。
けっこう意見はあっちこっちに紛糾して面白かった。
僕のこの作品の感想としては、ある意味で"文体のコラージュ"、"ハウス小説"であるのではないかと思う。
確かに既存のどの小説にもハマらない新しさはあると思う。斬新とはちょっと違うんだけども…。
趣味じゃないけど否定はできないな、と思う。
by nestvision | 2011-03-05 18:41 | 読みました!review

ゆ乃月さんの落語発表会

2011.3.5 Osaka Toyonaka

b0025405_22335437.jpg僕の文学学校の恩人である福井ちゃんが、ずっとマジメに取り組んでいる落語。今日はその発表会を見るべく、阪急岡町の豊中市立伝統芸能館に。
落語会にはいい環境の小屋。師匠による前座含めて四席。みなさんお上手で楽しく笑わせていただいた。
我らが福井ちゃん(満腹亭 ゆ乃月さん)も難し噺をさらりと笑に変える運びで、安定感バリバリで楽しめました。
いつか機会があれば落語にも挑戦してみたいと思った次第(^з^)-☆
by nestvision | 2011-03-05 16:41 | 読みました!review
b0025405_23425193.jpg 拙者のブログでのブックレビューでは珍しいビジネス書(ってか技術書?)です。
うん?もしかして初登場かも。

Evernoteが話題になって約一年。
最初は何に活用すればいいのかわからなかったのだが、最近は無くてはならないアイテムになっています。

そこでこの本。
Macユーザーに特化した内容。Mac、iPhone、iPadをいかにしてシームレスにEvernoteを連動させるかについて詳細に書かれています。
わかっているようでわかんない機能も満載のEvernote。

あっ?社員全員にEvernoteを支給したら、それはそれでものそごいデータ共有が構築されそうな気がします。
by nestvision | 2011-02-21 23:46 | 読みました!review
先頃「苦役列車」という作品で第144回芥川賞を手にした西村賢太の作品。
「けがれなき酒のへど」と野間新人文学賞を受賞した「暗渠の宿」が収録されている。
いやぁ、こういう人が平成にまだいたんだなぁ…と、まぁ感慨深い。
中卒で様々な肉体労働に従事してたという中上健次っぽい生き様もさることながら、藤澤清造という作家に心酔して小説にも頻繁に登場する。
彼は自己の作品を「小説」ではなく「私小説」だと限定しているあたり、ただ者ではない感じ。
二作を読んでみると、なるほどどこにもない文体。しかも相当量の作品を書いて来たのだろう。文体がある種確立されている。そして読み易いというのもポイント。
いやすごい作家だと思いますよ。でも販売は伸びない感じの作家だなぁとも思ってしまう。
いずれにしても、新潮社の高学歴の書籍編集者はド肝を抜かれた事だけはよくわかる。
by nestvision | 2011-02-10 15:42 | 読みました!review