イシハラマコトのマンボな日常へようこそ☆


by nestvision
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『風花』 川上弘美 / 著(集英社/刊)

溜息の出るほど、いい小説だった。
季節をいろどる言葉をタイトルとした13の短編から成る連作である。
「すばる」に連載されていたものに加筆、再編集されたものだろう。

文学学校の夏季合宿で、事務局の紅さんが”絶対にオススメ!”と、チューハイを飲みながら言ってたので、文庫本を待たずに最新刊を買ってしまった。

ボクもやっぱり泣いてしまった。

そもそも川上サンの小説は大好きで、大体の作品を読んでは来たけれど、なんだろう、無駄のない完成された文体っていうのが色濃く出る。
紅さんも言っていた。「センセイ~」とか「蛇~」とかと、全然ちゃう(違う)ねん…、と。

結婚、恋愛、不倫、嫉妬、別居、離婚、という、現代に於いての不可避な人生のエピソードを、"のゆり”という32歳の女性の目線で淡々と追っていく。

この作品を独身の人はどう読むのだろうか。
そして、結婚してる人、結婚していた人は、ボクと同じ感想を持つのだろうか?
多分、誰も同じ意見を持つ人は居ないと思う。
それだけ、男女の関係性は人それぞれであって、正解が無いのである。
そういう読者に心象を預けきってしまえるだけの、文学的な主体性がこの作品にはある。
要するに、読者を作者が設定した場面に引きずり込まない。
読者は自分の想いで、入ったり、俯瞰視したり…。自由度が恐ろしく高いのである。

川上サンの文章を”巧い”とは、もう表現しないでおこう。
この人は、村上春樹と同じく、既に自分の文体を完成したのであって、真似をすると、すごい深みにハマってしまって危険だと思う。

ただ、言葉の選び方、描写のきっかけ…とか、勉強すべき所は本当にいっぱいある。

とにかく、久々に泣けたのである。
ただそれだけで、素晴らしい作品だと思うのだ。
by nestvision | 2008-07-27 00:51 | 読みました!review