『ぼんち』 市川 昆/監督(大映→角川映画)
2008年 02月 09日
◎いやまぁ、キャストの豪華な事…。
監督: 市川崑
出演: 市川雷蔵 / 若尾文子 / 中村玉緒 / 草笛光子 / 越路吹雪 / 山田五十鈴 / 船越英二 / 中村鴈治郎 / 京マチ子…。
やっぱ秀逸なのはポン太の若尾文子のはまり役。
ってか、やっぱ喜久ぼんの雷蔵がサイコーな作品である。
でも、やっぱり物語としては原作の方が絶対的に面白い。
何がびっくりかといえば、この頃の映画化された作品は、映画を観る者すべてが、原作を読んでいるという事を前提にしている事だ。
原作を読んでいなかったら、多分全然意味の分からない作りになっている。
文学のそのエレメントの下に映画化というアウトプットが存在していたのである。
パンフレットを読んでいると、山崎豊子がギリになって、撮影中止を申し入れたというエピソードがある。
なんとなくわかる気がする。
ラストの老人となった喜久ぼんの扱いというか質感に、豊子自身悩んだと思うのだ。
多分、あぁであるべきだし、問題無いといえば問題ない。
でも、ぼんちの最後には相応しくないというか、リアル過ぎるのである。
それと、喜久ぼんが、女たちと別れる決意をする感情描写が単純すぎる。原作ではその複雑さが克明に描かれていると思うのだ。
もしボクが山崎豊子なら、悩みに悩んだ挙げ句、映画会社にダメ元で意見したのではないかと思う。
原作読まずしてDVDを観てもサッパリなんでご注意を!