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『ハリガネムシ』 吉村萬壱/著 (文春文庫)

文学学校の特別講座と前後してしまったが、今回の東京行きで読了。
芥川賞を受賞した「ハリガネムシ」と、「岬行」という好短編の2編。

「ハリガネムシ」には、在る意味で何ともいえない読後感をともなわされた。男性としてあまり周囲に話したくない”性衝動の核”みたいなのが、ものすごく細部にまでこだわって良く描写されている。その描写がリアルであるから一種の嫌悪感さえ漂う。
なるほど、今の芥川賞はここまで緻密に破壊をしなければ、選考委員の心を鷲づかみに出来ないんだな…と納得する。リズム、構成、展開。そしてラスト。物書きとしては、すごくお手本となるテキストの様な短編だ。

一方「岬行」は、本来の吉村萬壱らしい作品なのではないか。要するに非現実性をいかにリアルに描写して、読者に旅をさせるか。そして短編の基本である視点統一+登場人物を3人というセオリーは貫かれている。ものすごく練りに練った文章という印象だ。確かに「ハリガネムシ」よりは毒が抜けてしまうのだけれど、僕はこっちのリズムの方が好き。

特別講座でも思ったが、この吉村さんはよく文学を勉強している。そして努力をしている人だなぁと思う。文学界新人賞受賞後、ストレス性の禿げが出来たというのも納得できる。
このまま、テーマさえ見つけはったら、直木賞は確実にとる人だと思う。
by nestvision | 2006-11-19 12:33 | 読みました!review