『応挙と芦雪』 @ 奈良県立美術館
2006年 11月 15日
京都円山派のアイドル、応挙(おうきょ)とその弟子、芦雪(ろせつ)。
実は東山魁夷がこの脈流にいるとは知らなかった。ってかそういやそういう作風やね。
重要文化財となっている「牡丹孔雀図」(応挙)とか、「厳島八景図」(芦雪)とか、いいのだけれど、これは当時のクライアントの意向が強いような作品。いわゆる二人にとっては”仕事”であったハズ。日本の文部科学省ってのは仕事にしか価値を見いだせないんだなぁ…と納得。
なんてことはない風景画が、全体と呼吸を合わせると、生きているのだ。本当に雨が降り、そして風が吹いている。「Wuchiku-Fuchiku-Zu」ってネーミングも素敵。
しばし、この屏風を前に深呼吸をする。凄い。泣ける。
そして、目に留まったのは「月に郭公図」(芦雪)である。スーパーリアリズムなんて、なんのその。空気、情感でリアルを超えてリアルだった。本当に月の儚い光が眩しかった。
総合的に、今回の展覧会は作品数も多く、見応えがあった。前期と後期に別れていて、「牛図」が見れなかったのは残念だが、とても充実した内容だったと思う。
応挙ってのは、実に編集者的視点だったんだなぁと思う。それが置かれる空間や、状況までを俯瞰に見て、自分の作品を位置づけるタイプ。
逆に、芦雪は、アイドル応挙センセイに包まれて、自由に自作を泳いだ天才。要するにトリミングの魔術師。本当のアーティストって感じ。
☆2000円の図録を僕に買わせた応挙&芦雪にリスペクト。