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『ぴあの時代』 掛尾良夫/著(小学館文庫)

b0025405_130473.jpgもちろん読まねばならぬ。…というか届いて数時間で読了した。
元「キネマ旬報」編集長であった掛尾さんは、やはり優秀な編集者なんだと読了後思った。
ぴあ社長である矢内廣と同世代であり、映画研修会周辺での同じ歩調をとってきた人で、映画業界人からみた、映画情報誌「ぴあ」への大いなるオマージュとして書ききっていた。
ぴあに在籍した人、そして現在も在籍する人それぞれが「それだけではない…」と思ったと思うが、しかし何処にも湾曲された部分はないし、事実なのである。光のアテ具合によって、掛尾は素晴らしい青春群像記録として編集したというワケだ。
特にわれわれ、ぴあに縁の深い者にとっては@第二章あたりからいきなり面白い。
黒川さんとその前後、中大ブントの高須氏がここまで矢内と深く関わっていたのは教務深く読んだ。
そしてラストは紀伊國屋書店の田辺さん、教文館の中村さんの逝去で締めるという、何とも絶妙な構成であったと感心した。
映画ファンにはたまらない、監督、作品がさすが掛尾さんらしく散りばめられていて、それだけでも資料になりそうな勢いである。

ぴあといいう情報誌が役目を終えた理由のひとつに、映画興行界の大変革というものがあった。二番館、三番館が次々と無くなっていき、極めつけはシネマコンプレックスという、もはやぴあを否定するシステムに飲み込まれていくのである。
そういうエポックの前夜から、我々の先輩世代の中にあった「ぴあは映画情報誌からレジャー情報誌になろうとしている!」という第一のパラダイムシフトが起きた。
それを乗り切って、ぴあは大企業(的な)地位にトントン拍子に上りつめて行くのだが、そこらあたりを、キャプテン〜PTSまでの事業構造の変革という論旨で括ってしまってる所に物足りなさを感じた。
(確かに外部の人間からは、チケットぴあという核弾頭の誕生の意味など、なかなか理解は出来ないと思うし、説明をスラスラ言えるぴあの人間もほとんどいないだろう)

要するに、掛尾さんはじめ、 70年代の映画オタクたちにとって、矢内廣はアイドルであり、一番の成功者であったという軸がブレていないから、ものすごく清々しい読後感を与えてもらった。

大変に”ぴあと近かった他人”が書いたからこそ、明快なぴあストーリーになったんだと思う。
by nestvision | 2013-05-02 13:02 | 読みました!review