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by nestvision
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『人間小唄』 町田康/著(講談社刊)

b0025405_22393287.jpgほやほやと読了。
講談社100周年記念出版「書き下ろし100冊」にラインナップされた町田康の最新刊。
実は最初、読むなり放り出した。
僕の町田作品に対する最初の反応である。たいへん読みづらいし、毒々しいというか馬鹿馬鹿しいのである。
いわゆる散文か?と思わせるバラッバラのエピソード&モチーフ。
しかし放り出してから1〜2週間ほど悶々と悩むのも、ボクにとっての町田作品の特徴だ。
「もしかして、そーゆーこと?」などと思い直し再読を迫られる(まさに迫られる)
そしてボクはお正月に再読を開始したのであった。

やはり、バラッバラのエピソードを紡いでいるが、恐ろしいほどに文体は一定。
しかも視点は常にある定点から恐ろしく冷静に俯瞰していて、文学として全然成立している事に気づく。
今回の作品は「感情のテロリズム」だと自分なりに思った。帯にも抜粋されているように”美しくも儚い人間小唄”なのである。
人間が誰しも持つ人格の破壊衝動をストレートにど真ん中に描写しつつ、それでいながら非現実的な登場人物が、もう口臭の善し悪しまで伝わる。描写っていうんじゃない。迫る。肉迫な感じ。
要するにボクは最初にこのテーマを発見できなかったというワケだ。

何が感想なのか?読んだ本人にもわからないが、心になんともいえぬ”鈍痛”が残る作品。
だとすれば、日本で絶滅寸前の純文学として受け入れる他ないのである。

いずれにしても、町田作品の毒にはいつも当てられる。注意すべき書き手であるのは誰もが認めるが、やっぱり今回も抉(えぐ)るのである。"感動していないのに抉られる作家"って、彼をおいて他に今のところ居ないんだなぁ。実際。
by nestvision | 2011-01-10 22:13 | 読みました!review